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東京高等裁判所 平成9年(行ケ)132号 判決 1998年4月08日

東京都千代田区丸の内2丁目2番3号

原告

三菱電機株式会社

代表者代表取締役

北岡隆

訴訟代理人弁理士

竹中岑生

東京都千代田区霞が関3丁目4番3号

被告

特許庁長官 荒井寿光

指定代理人

内藤二郎

及川泰嘉

小川宗一

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

特許庁が、平成6年審判第21328号事件について、平成9年4月3日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文と同旨。

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、昭和60年3月11日、名称を「文書読取装置」とする発明(以下「本願発明」という。)につき、特許出願(特願昭60-47678号)をしたが、平成6年10月21日に拒絶査定を受けたので、同年12月22日、これに対する不服の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を、平成6年審判第21328号事件として審理したうえ、平成9年4月3日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年5月7日、原告に送達された。

2  本願発明の要旨

入力された文書の画像を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された画像を表示する表示手段と、この表示手段で表示された画像の認識すべき文字領域とこの文字領域に表示されている文字の字種等の属性とを選択する入力手段と、この入力手段により選択された上記文字領域と上記属性とを格納する格納手段と、この格納手段に格納されている上記選択された文字領域の文字を切出す文字切出し手段と、この文字切出し手段により切出された文字を上記格納手段に格納されている上記選択された属性に基づき認識する認識手段とを備えたことを特徴とする文書読取装置。

3  審決の理由

審決は、別添審決書写し記載のとおり、本願発明が、特開昭56-105575号公報(以下「引用例1」といい、そこに記載された発明を「引用例発明1」という。)及び特開昭57-104363号公報(以下「引用例2」といい、そこに記載された発明を「引用例発明2」という。)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものと認められるので、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした。

第3  原告主張の取消事由の要点

審決の理由中、本願発明の要旨の認定、引用例1及び2の記載事項の認定、本願発明と引用例発明1との一致点及び相違点の認定は、いずれも認めるが、相違点の判断は争う。

審決は、本願発明と引用例発明1との相違点の判断を誤る(取消事由1)とともに、本願発明の有する顕著な作用効果を看過したものである(取消事由2)から、違法として取り消されなければならない。

1  相違点についての判断誤り(取消事由1)

審決における本願発明と引用例発明1との相違点についての判断のうち、「入力画像を、一旦表示画面上に表示させ、表示画面上で、文字領域指定を行うことや、この表示・指定を、メモリを用いて行うこと」(審決書6頁14~16行)が、引用例発明2に開示されており、周知技術であることは、認めるが、本願発明は、表示画面上で文字の領域指定だけでなく属性選択をするものであり、このように表示画面上で文字の属性選択をする手段は、引用例発明2には開示されておらず、この手段は周知技術からも容易に推考できるものではない。

被告は、引用例発明1に示される領域指定や属性指定は、読取対象物のフォーマット指定であり、引用例発明2では、フォーマット指定の1つである領域指定を表示画面上で行うことを周知技術として開示しており、この引用例発明2が示す周知技術思想を、同じフォーマット指定に属する文字属性の指定についても適用させ、属性指定を領域指定と同様に表示画面上で行うようにすることは、当業者が容易に想到し得たと主張する。

しかし、文書読取装置における「フォーマット」指定は、領域指定及び属性指定の両方を行うべきものであり、領域指定のみでは、「フォーマット」指定を行うとはいえないのであるから、引用例発明2において、表示画面上で領域指定を行うことが示されているからといって、属性指定を行う手段が想到できるものではない。

したがって、審決が、上記相違点の判断において、「この相違点は、必要に応じて適宜なし得る設計変更程度の相違にして、この相違点で、格別の発明力を要したものとは認められない。」(審決書6頁17~20行)と判断したことは、誤りである。

2  顕著な作用効果の看過(取消事由2)

本願発明は、前示要旨のとおり、各構成要素が有機的に結合したものであり、その結果、本願発明は、あらかじめ認識領域の取捨選択を行うことにより、高速で認識処理を行い、文字領域に表示されている文字の字種等の属性を選択することにより、精度の高い認識処理を行うとともに、読取りフォーマットを作成する時間が大幅に短縮して容易に入力でき、さらに、読取りフォーマットの異なる文書でも効率よく入力できて、切出し領域が正確に設定できるなどの顕著な作用効果を奏する。

これに対し、引用例発明1では、被読取文書(被読取図面3)の文字・記号領域の位置指定用に用いられる領域指定図面4は、被読取文書のフォーマット、すなわち書式が異なれば別の形式の領域指定図面を用いる必要があり、また、領域指定を領域指定図面4を介して間接的に行うものであって、しかも、引用例1(甲第2号証)に「尚、この場合、被読取図面3と前記領域指定図面4とが、例えば同一の大きさで、且つ位置合せがなされていることは勿論のことであり」(同号証3頁左上欄10~13行)と記載されるとおり、面倒な位置合わせ動作を伴う難しい作業を要するものであることが明らかである。

したがって、引用例発明1は、上述した本願発明の特別顕著な作用効果を奏することはできず、審決は、本願発明のこのような作用効果を看過したものである。

第4  被告の反論の要点

審決の認定判断は正当であり、原告主張の審決取消事由は、いずれも理由がない。

1  取消事由1について

引用例発明1に示される領域指定や属性指定は、読取対象物のフォーマット指定であり、本願発明もその明細書の「従来の技術」の項の記載で、これらがフォーマット指定という共通の概念に含まれていることを述べている。そして、引用例発明1では、領域指定と属性指定という2つのフォーマットを併せて指定する技術が開示されている。

また、引用例発明2では、フォーマット指定の1つである領域指定を表示画面上で行うことができる旨を開示しており、このことは周知技術でもあるから、この引用例発明2が示す周知技術思想を、同じフォーマット指定に属する文字属性の指定についても適用させ、属性指定を領域指定と同様に表示画面上で行うようにすることは、当業者が容易に想到し得たところである。

したがって、相違点に関する審決の判断(審決書6頁17~20行)に、誤りはない。

2  取消事由2について

本願発明は、領域指定・属性指定の指定処理を行った後、この指定に基づいて認識処理を行うものであるから、領域指定・属性指定の指定構成と認識構成における効果は、分けて判断しなければならない。

ところで、周知技術を開示した引用例発明2は、表示画面上で領域指定を行っているので、本願発明と同様に高速に認識領域の取捨選択を行えることは明らかである。属性指定も、領域指定構成と同様に表示画面上で行うことにより、フォーマット作成の時間を短縮できることは、引用例発明2を考慮することで当業者が予測し得る程度の効果である。また、あらかじめ領域指定・属性指定を行っておくことにより、この指定に基づき認識処理を高速・高精度に行い得るものであるが、引用例発明1においても、あらかじめ領域指定・属性指定を行っているから、本願発明と同様の効果を奏するものといえる。なお、引用例1(甲第2号証)に、位置合わせをしておく旨の記載があることは認めるが、それが難しい作業を要するとの記載はなく、原告の主張には理由がない。

以上のとおり、本願発明の効果は、引用例発明1及び2から当業者が容易に想到し得た範囲内のものにすぎず、各引用例にない特別顕著な効果を有するとはいえない。

第5  当裁判所の判断

1  取消事由1(相違点の判断誤り)について

審決の理由中、本願発明と引用例発明2とが、「前者は、『入力された文書の画像を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された画像を表示する表示手段』とを有し、表示画面上で、領域指定、属性選択等を行うようになすのに対して、後者には、これに関する明記がない点」(審決書6頁7~11行)で相違すること、「入力画像を、一旦表示画面上に表示させ、表示画面上で、文字領域指定を行うことや、この表示・指定を、メモリを用いて行うことは、上記引用例の2に示されるように、周知技術」(同6頁14~17行)であることは、当事者間に争いがない。

また、引用例2(甲第3号証)によれば、引用例発明2では、画像原稿の読取りにおいて、画像原稿を一度メモリに記憶させたり、表示画面上で文字の領域指定を行うことにより、その編集対象となる領域指定を容易、かつ、正確に行うものであると認められる。

ところで、引用例発明1について、引用例1(甲第2号証)には、「本発明は第1図(a)に示すように線図形1とこの線図形1に付随する文字・記号2とを記載した被読取図面3を正確に且つ自動的に読取ろうとするものであり、その補助手段として同図(b)に示す文字・記号領域の位置指定用に領域指定図面4を用いる。この領域指定図面4は前記被読取図面3に相当した大きさの例えばトレーシング紙からなるものであり、この図面4上に前記文字・記号2の記載領域に対応して位置マーク5が付される。この位置マーク5は例えば文字・記号2の種類によつて色分類された各々固有の色に、前記対応領域を着色したものである。この位置マーク5を付す作業は、例えば領域指定図面4を被読取図面3上に重合せ、被読取図面3上の文字・記号2が記された領域を上記領域指定図面4からフエルトペン等も用いて着色マーキングすることにより行われる。第2図は一実施例装置の概略構成を示すもので、同装置により前記被読取図面3の線図形1および文字・記号2の正確で自動的な読取りが以下の如く行われる。ラインセンサ11は色識別可能な複数の光電変換素子からなるもので、例えば三原色フイルタを備えたCCD等で構成される。このラインセンサ11によつて撮像される前記被読取図面3および領域指定図面4の各像信号は色情報識別回路12に導かれて、その色情報識別に供される。同回路12による色情報識別は、予め設定された複数の相異なる色に対して、上記像信号の色成分がどの分類に属するかを判定して、例えば文字・記号2の数字・漢字・英字等を識別するものである。」(同号証2頁左上欄6行~右上欄第16行)と記載されている。

これらの記載によれば、引用例発明1においては、文字・記号領域の位置指定用に領域指定図面を用い、この領域指定図面上に、文字・記号の種類によって色分類され着色された位置マークを付すことにより、対応領域を指定するものであり、この着色された色により領域内の文字・記号が数字・漢字・英字等のいずれであるかを識別し、文字・記号の正確、かつ、容易で自動的な読取りを行うものであると認められる。

そうすると、引用例発明1及び2は、いずれも画像の読取りにおいてその対象となる領域の指定を容易、かつ、正確に行うものであり、共通する技術分野に属し同一の技術課題を有するものであるから、引用例発明1における図面を利用した、着色された位置設定による領域指定手段に代えて、引用例発明2に開示され、周知技術でもある、表示画面上で文字の領域指定を行う手段を適用することは、当業者にとって容易に想到できるところといわなければならない。そして、引用例発明1において引用例発明2に開示される領域指定手段を適用するとすれば、当業者が、表示画面上でメモリを用いて文字の領域指定を行った後、引用例発明1に示されるように、文字・記号について数字、漢字、英字等の識別を行おうと試みることは、極めて自然なことと考えられ、その場合、同一の表示画面上で数字、漢字、英字の識別を行うことは、当然に予測できるところといわなければならない。このことは、本願発明と同様に、表示画面上で文字の領域指定を行うとともに、その属性指定を行うことにほかならない。

原告は、文書読取装置におけるフォーマット指定は、領域指定及び属性指定の両方を行うべきであり、領域指定のみでは、フォーマット指定とはいえないのであるから、引用例発明2において、表示画面上で領域指定を行うことが示されているからといって、属性指定を行う手段が想到できるものではないと主張する。

しかし、引用例発明1には、前示のとおり、文字の領域指定を行った後、文字・記号について数字、漢字、英字の識別を行うことが開示されているのであるから、引用例発明1及び2に接した当業者は、表示画面上で領域指定を行った後、同一画面上で文字の属性に応じた識別を行うよう試みることは、極めて当然のことであり、しかも、仮に原告の主張のとおり、フォーマット指定が領域指定及び属性指定の双方を指すとすれば、当業者にとって、その一方の領域指定を表示画面上で行うことが示されている引用例発明2から、他方の属性指定も同一画面上行うよう想到することに、格別の困難性がないことは明らかであるから、原告の主張を採用する余地はない。

したがって、審決が、本願発明と引用例発明1との相違点について、「この相違点は、必要に応じて適宜なし得る設計変更程度の相違にして、この相違点で、格別の発明力を要したものとは認められない。」(審決書6頁17~20行)と判断したことに、誤りはない。

2  取消事由2(顕著な作用効果の看過)について

以上のとおり、引用例発明1のあらかじめ領域指定・属性指定を行う画像読取装置について、その領域指定手段に代えて、引用例発明2に開示される表示画面上での領域指定手段を採用し、領域指定・属性指定を表示画面上で行うことは、当業者が容易に推考できる事項である。そうすると、引用例発明1においてこのような構成を採用すれば、原告が主張する本願発明の効果と同様の効果を奏することは明らかであり、これらの効果は、当業者にとって容易に予想されるところと認められる。

原告は、引用例発明1では本願発明の特別顕著な作用効果を奏することはできないと主張するが、審決は、引用例発明1及び2に基づいて、本願発明の構成が容易に想到できるとするものであり、その効果も、引用例両発明から予測できる範囲内のものであるか否かを検討すべきであるから、原告の主張は、それ自体失当といわなければならない。

3  以上のとおり、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、その他審決に取り消すべき瑕疵はない。

よって、原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中康久 裁判官 石原直樹 裁判官 清水節)

平成6年審判第21328号

審決

東京都千代田区丸の内2丁目2番3号

請求人 三菱電機株式会社

東京都千代田区丸の内2丁目2番3号 三菱電機株式会社 法務・知的財産権本部

代理人弁理士 高田守

昭和60年 特許願 第47678号「文書読取装置」拒絶査定に対する審判事件(平成7年9月6日出願公告、特公平7-82522)について、次のとおり審決する.

結論

本件審判の請求は、成り立たない.

理由

(手続の経緯・本願発明の要旨)

本願は、昭和60年3月11日の出願であって、その発明の要旨は、公告時の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載されたとおりの、

「入力された文書の画像を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された画像を表示する表示手段と、この表示手段で表示された画像の認識すべき文字領域とこの文字領域に表示されている文字の字種等の属性とを選択する入力手段と、この入力手段により選択された上記文字領域と上記属性とを格納する格納手段と、この格納手段に格納されている上記選択された文字領域の文字を切出す文字切出し手段と、この文字切出し手段により切出された文字を上記格納手段に格納されている上記選択された属性に基づき認識する認識手段とを備えたことを特徴とする文書読取装置。」にあるものと認められる。

(引用例)

これに対して、前置審査における特許異議申立人 株式会社東芝 の提示した、

(1)甲第1号証である特開昭56-105575号公報(以下、引用例の1という)には、図面読取装置に関する発明が記載されていて、図と共に、

A.「第2図は、一実施例装置の概略構成を示すものである。ラインセンサ11によって撮像される前記被読取図面3及び領域指定図面4の各像信号は色情報識別回路12に導かれて、その色情報識別に供される。この像信号の色成分がどの分類に属するかを判定して、例えば文字・記号2の数字・漢字・英字等を識別するものである。

マスクメモリ17は、この色情報識別回路12により色識別された前記領域指定図面からの位置マーク5により示される位置情報およびその色によって指定される文字・記号の種類情報を記憶するもので、例えば、座標コード(X、Y)と漢字データを表す赤色(N)等のコードとして、逐次書込まれる。」(第2頁右上欄~右下欄)

B.「読取モード時において、マスクメモリ17からの情報が位置マーク5を示していないときは線図形(画)情報として、また、位置マーク5を示すときは文字情報として(文字認識制御部15により、色別された文字・記号の種別を示す情報に従って像パターンの認識を行い、コード化して)、画像メモリ18に書込む。」(第3頁左上欄~右上欄)

C.「本発明によれば、色識別された位置マークを検出して被読取図面の線図形と文字・記号とを弁別して、これらを各々独立に且つ正確にして自動的に読取ることのできる。」(第3頁右下欄)旨、説明されてある。また、

(2)甲第3号証である特開昭57-104363号公報(以下、引用例の2という)には、従来技術として、

a.「原稿画像を一度ディスプレイ面に表示させ、ライトペンなどを川いて画像編集の対象となる領域を指定させる」(第1頁右欄)こと、及び、

b.「スキャナによって読取った原稿の画像情報を一度メモリに記憶させたうえで、特定領域のアドレス指定をなしてその特定領域内の情報を抜き出すようにした手段」(第2頁左上欄)が、知られている旨、記載されてある。

(対比)

そこで、本願発明(以下、前者という。)と前記引用例の1に記載されたもの(以下、後者という。)とを、対比すると、

後者には、「文字切出し手段」なる用語の明記はないが、文字認識する際、文字を切出し認識することは常套手段であり、この手段(機能)は、後者の、文字認識制御部17から、即連想される機能と認められることを考慮すると、両者は、

「画像(被読取図面)の認識すべき文字領域(位置マーク5)とこの文字領域に表示されている文字の字種等の属性(文字・記号を示す色情報)とを選択する入力手段(ラインセンサ11、色情報識別回路12)と、この入力手段により選択された上記文字領域と上記属性とを格納する格納手段(マスクメモリ17)と、この格納手段に格納されている上記選択された文字領域の文字を上記格納手段に格納されている上記選択された属性に基づき認識する認識手段(文字認識制御部15)とを備えたことを特徴とする文書読取装置。」点で一致し、次の<1>の点で相違するが、その余の構成には実質上の差異は認められない。

<1> 前者は、「入力された文書の画像を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された画像を表示する表示手段」とを有し、表示画面上で、領域指定、属性選択等を行うようになすのに対して、後者には、これに関する明記がない点。

(当審の判断)

次に、この<1>の相違点を検討すると、

入力画像を、一旦表示画面上に表示させ、表示画面上で、文字領域指定を行うことや、この表示・指定を、メモリを用いて行うことは、上記引用例の2に示されるように、周知技術であり、この相違点は、必要に応じて適宜なし得る設計変更程度の相違にして、この相違点で、格別の発明力を要したものとは認められない。

(むすび)

したがって、本願発明は、前記各引用例に基づいて当業者が容易に発明することができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

平成9年4月3日

審判長 特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

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